令和7年度(2025年度)以降|介護職員等処遇改善加算の職場環境等要件の解説(生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組について)
目次
令和6年度までに算定している介護職員の処遇改善加算ですが、令和7年度(2025年度)以降に向けて要件が大きく変わります。なかでも「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」に関する要件が拡充・強化されるのが大きなポイントです。
これまで以上にICT機器や介護ロボットの活用、業務手順の標準化・見える化など、現場の業務改善に踏み込んだ具体的取組が求められます。
加算を取得するにはどのような準備が必要か、また新しく設けられた(あるいは拡充された)補助金「介護人材確保・職場環境改善等事業」についても触れながら、これらをどう活用できるのかを整理します。

生産性向上要件の変更ポイント
令和7年度以降の処遇改善加算では、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」に大きなアップデートがあります。
旧来もICT機器等の導入、5S活動などが必須項目として挙げられていましたが、新要件では以下のようにより具体的な取組が必須化または強化されます。
なお、介護職員等処遇改善加算Ⅰ・Ⅱと Ⅲ・Ⅳとでは下記のように取り組む要件の数に差があります。
令和7年度からは、処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを算定する場合、上記生産性向上の取組を3つ以上実施(うち⑰か⑱のいずれかは必須)することが求められます。Ⅲ・Ⅳの場合でも2つ以上の実施が必要になります。
これにより、加算を確実に取得するためには、単にICTを入れるだけでなく体制作りや現場の課題洗い出しなど複数の取組を計画的に実行しなければならない点が以前より強化されたといえます。
- 介護職員等処遇改善加算 Ⅲ・Ⅳ :以下の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組んでいる
- 介護職員等処遇改善加算 Ⅰ・Ⅱ :以下の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上うち⑰又は⑱は必須)取り組んでいる
業務改善活動の体制構築
これまでもICT導入やロボット機器の活用が推奨されてきましたが、令和7年度以降は「厚生労働省が示す生産性向上ガイドラインに基づき、委員会やプロジェクトチームなどの体制を整える」ことを求めています(⑰)。
介護現場の生産性向上ガイドライン|使い方解説 全体像(目次ぺージ)
外部の研修会を活用するなど、体系的に業務の効率化を進める仕組み作りが必須です。
なお、小規模事業所は外部リソース(地域の他事業所やコンサル、自治体)を活用して共同で体制を整えてもOKとなっています。
現場の課題の見える化
業務時間調査を実施して「どこに無駄が生じているか」「介護業務を阻害している要因は何か」などを分析し、課題を抽出し構造化します(⑱)。
たとえば「記録業務に時間がかかりすぎている」「人手が足りず、業務が複雑化している」などをあぶり出し、解決策を検討する流れです。
5S活動等の職場環境整備
設備・物品類の整理整頓、職場環境を常に整える5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)や、業務手順書の整備などが必須項目として明記されました(⑲、⑳)。
記録や報告様式のフォーマット化・電子化で職員の作業負担を軽減する取組も大切です。
ICT機器や介護ロボットなどテクノロジーの導入
介護ソフト(記録・情報共有・請求業務の電子化など)やタブレット端末、インカム等によるコミュニケーションの効率化が要件として強化されました(㉑、㉒)。
より積極的に見守りロボットや移乗支援ロボットなどを導入し、安全性と業務効率化を両立させることが求められます。
役割分担と働き方の見直し
間接業務の切り出しや介護助手等を活用して介護職員がケアに専念できる体制を整える(㉓)。
小規模事業所や複数事業所間での事務部門の集約などの共同化も推奨され、職員が働きやすい環境を作り出す仕掛けが必須になります(㉔)。
具体的な取り組みのアイディア
業務改善活動の体制構築
プロジェクトチームや委員会の設置
生産性向上委員会を設置し、業務改善の推進役を担うメンバーを選定します。マネジメント層、中堅層、現場職員からバランスよく選び、定期的な会議や報告を行う仕組みを整えます。
外部研修の活用
厚生労働省が提供する「生産性向上ガイドライン」を活用し、専門家による研修やワークショップを実施します。
フィードバックと改善サイクル
委員会での議論内容を現場に反映し、定期的な振り返りを行いながら計画を改善します。
現場の課題の見える化
業務時間調査
厚生労働省が提供するツールを使用して業務時間調査を実施し、現場の課題やボトルネックを可視化します。例えば、夜勤帯の負担や間接業務の割合などを分析します。
現場課題の気づきシートや因果関係図を作成する
現場課題を現場スタッフから気づきシートで収集し、その課題の因果関係を見える化することで、現場課題の本当の原因を取り除くことで現場の業務改善に繋げます。
5S活動等の職場環境整備
物品の保管場所を明確にし、作業導線を短縮したり、通路に不要物を置かない・定位置管理の徹底など、効率よく安全な動線づくりを実践します。
5S活動のリーダー役を決め、定期的に職員全員で点検の習慣化を図るのが重要です。
ICT機器や介護ロボットなどテクノロジーの導入
ICT導入
スマホやタブレット端末、そしてクラウド型記録システムを導入し、記録作業や情報共有を効率化します。
インカム(スマホでBluetoothを用いたマイク付きイヤホン)など遠隔でコミュニケーションを取れるツールを使用します。
これらにより転記作業やダブルチェック、スタッフ探し等の間接業務にかかる時間が削減されます。
介護ロボット・介護テクノロジーの導入
移乗支援ロボットや見守りセンサーなどを導入し、職員の身体的負担軽減と利用者へのサービス品質向上につなげます。
シフト管理の効率化
勤務シフト自動作成システムなどを導入し、サービススケジュール管理、人事管理や休暇申請などの業務効率化を図ります。
役割分担と働き方の見直し
介護助手や外部委託の活用
清掃や配膳などの間接業務は介護助手や外注サービスに任せ、介護職員がケア業務に集中できる環境を整備します。
役割分担表の作成
業務分担表で各職員の担当範囲を明確化し、業務漏れ防止と効率的な運営体制を構築します
柔軟な勤務体制
短時間正規職員制度やフレキシブルシフト制を導入し、多様な働き方への対応と職員満足度向上を目指します。
「介護人材確保・職場環境改善等事業」の補助金の活用
令和6年度から適用されている「介護人材確保・職場環境改善等事業補助金」を活用することで、生産性向上に必要な資金負担を軽減できます。
この補助金は下記の用途に使用可能ですので、先に記した生産性向上のための取り組みへの経費として利用することもできます。
職場環境改善経費
業務改善活動費(専門家派遣費、会議費など)、職員研修費(ICT機器操作研修など)など幅広く利用が出来ます。
※介護テクノロジー等の機器購入費用には充当できません
人件費
新規雇用した介護助手への給与支払いや既存職員の賃金改善や手当等に充当できます。
生産性向上支援のサービスご紹介
当社コンサルタントによる生産性向上のための支援
研修やコンサルティング
改善活動のためのプロジェクトを推進していくにあたり、自施設内のリソースや実力では取り組むことが難しいことがあります。
そのために、外部の業者に研修やコンサルティング、伴走支援を検討するのも一つの選択肢です。
とくに、補助金の都合や、法人の号令によりICT化のプロジェクトを進めなければならない状況などでは、施設内での準備が整わないため、外部のコンサルタント等に頼った方がプロジェクトの成功率が高まります。
また、このようなプロジェクトにおける教育や伴走支援に対しても介護テクノロジー補助金が適用できるようになっていますので、これを見越して補助金を申請するのは有効な方法です。
外部のコンサルタントや伴走支援者の活用
介護施設が当社コンサルティングに依頼することで効果的な支援を受けられる項目には、以下のようなものがあります。
- 現状分析と課題抽出
- 客観的な視点での業務フローの分析
- 職員へのヒアリングやアンケート実施と分析
- 施設の強みと弱みの洗い出し
- 改善計画の策定支援
- 具体的な改善目標の設定
- 実行可能な改善施策の提案
- 中長期的な改善ロードマップの作成
- ICT・介護ロボット導入支援
- 施設に適したICTツールや介護ロボットの選定
- 導入計画の策定と実施支援
- 職員向け操作研修の実施
- 業務プロセス改善支援
- 業務の標準化・マニュアル作成支援
- 効率的な業務フローの設計
- 多職種連携の仕組み構築
- 人材育成・教育研修
- リーダーシップ研修の実施
- 接遇・コミュニケーション研修
- 介護技術向上のための実践的研修
- データ分析と活用支援
- 介護記録等のデータ分析方法の指導
- 科学的介護の実践に向けたアドバイス
- KPIの設定と進捗管理の仕組み構築
- 組織風土改革支援
- 職員の意識改革を促す研修の実施
- チームビルディング支援
- 職場環境改善のためのワークショップ開催
- 継続的な改善活動の仕組み構築
- PDCAサイクルの導入と運用支援
- 改善活動を推進する内部人材の育成
- 定期的なフォローアップと進捗確認
- 他施設の成功事例共有
- 類似施設での改善事例の紹介
- ベストプラクティスの共有と適用支援
- 補助金・助成金申請支援
- 活用可能な補助金・助成金の情報提供
- 申請書類作成のサポート
これらの支援を受けることで、施設内だけでは気づきにくい課題の発見や、専門的な知識・経験に基づいた効果的な改善策の実施が可能になります。
また、外部の視点を取り入れることで、職員の意識改革や新たな取り組みへのモチベーション向上にもつながります。
また、介護ICTやロボットなどの介護テクノロジーを購入しても、その利用が定着しないという施設が半数以上あるとされているためスタッフ教育や伴走支援は不可欠とされています。
当社は生産性向上のための伴走支援、介護テクノロジーの導入支援のための研修、セミナー、伴走支援、さらには補助金申請サポートも行っておりますので、ご興味があればこちらからお問合せをいただければと思います。
DX医療介護ナビ 編集部
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