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生産性向上推進体制加算のデータ提出方法
生産性向上推進体制加算を算定する事業所は事業年度毎に1回、生産性向上の取組の実績データを厚生労働に報告する必要があります。
締め切りは毎事業年度の最終日で3月31日です(2024年度であれば2025年3月31日)。
報告内容としては「生産性向上推進体制加算通知の記の8に基づく別紙1」(利用者向け調査票の更新バージョン付き)を報告することになります。
別紙1の雛形(Excelファイル)は下記よりダウンロードできるようにしています。
なお、報告は原則として厚生労働省の「電子申請・届出システム」(下記リンク)からオンラインでデータを提出することになっています。
なお、生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(上位の加算)を届出している施設は取り組みの成果の報告として、「(別紙2)生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定に関する取組の成果」の提出が加えて必要になります。
電子申請・届出システムの利用にはGビズIDプライムおよびメンバーのGビズID取得が必要になります。
Gビズについては下記動画が参考になります。
これらは厚生労働省通知の「生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について」に基づくものです。
なお、質問をいただくことの多い生産性向上に関する委員会についての具体的な内容については以下に別途記していますので、本記事では委員会については触れていません。
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項目ごとの記入方法
(1)利用者の満足度の変化

「別添1の利用者向け調査票により、WHO-5調査(利用者における満足度の変化)の実施及び生活・認知機能尺度の確認を行うこと。」
「調査実施に係る現場の負担も考慮し、5名程度の利用 者を調査の対象とすること。なお、5名程度の対象者の選定に当たっては、 利用者及び介護職員の負担が軽減されるよう、利用者自身で調査に回答を行 うことが可能な利用者を優先的に対象とすることも差し支えない。また、加 算(Ⅱ)を算定する場合で、介護機器の導入を行ったフロアや居室の利用者 の数が5名に満たない場合は、当該利用者全員を調査対象とすること。」
厚生労働省の出している事務連絡には以上のような記載があります。
【実施方法】
- 利用者向け調査票による調査を利用者5名程度を対象に行います。
- 調査時期には調査を行った年月を記入します。
- ①WHO-5(調査) 調査対象人数には調査を行った人数を入力します。
- ①WHO-5(調査) 下記「3.対象利用者におけるQOLの変化」を実施し、〇をつけたスコアを合計します。これを利用者5人程度で行います。
- 合計値の結果を0-6点、7-13点、14-19点、20-25点で先に実施した5名程度の人数を振り分けます。(例 0-6点:1人、7-13点:1人、14-19点:2人、20-25点:1人)
- ②生活・認知機能尺度(調査) 調査人数には調査を行った人数を入力します。
- ②生活・認知機能尺度(調査) 下記「2.対象利用者の生活・認知機能尺度」を実施し、設問に対し5段階に回答し、その解答のスコアを合計します。これを利用者5人程度に行います。
- 合計値の結果を6-14点、15-21点、22-28点、29-35点で先に実施した5名程度の人数を振り分けます。(例 6-14点:1人、15-21点:2人、22-28点、29-35点1人)



(2)総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化

「全ての介護職員(加算(Ⅱ)を算定する場合の(2)及び(3)については、介護機器の導入を行ったフロア等に勤務 する介護職員)を調査の対象とする。 」
「総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査 別添2の施設向け調査票により、対象事業年度の10月(※1)にお ける介護職員の1月当たりの総業務時間及び超過勤務時間を調査(※ 2)すること。 また、労働時間の把握については、原則として、タイムカード、パ ーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な記録(賃金台帳に記入した労働時間数も含む)により把握する必要があること。 (※1) 本加算を算定した初年度においては、算定を開始した月と すること。 (※2) 総業務時間及び超過勤務時間は調査対象者全体の平均値 (少数点第1位まで)を報告すること。」
厚生労働省の出している事務連絡には上のような記載があります。
【実施方法】
- 総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査(下の「別添2 施設向け調査票(労働時間等調査票)」)を全職員(加算Ⅱの場合は介護機器を導入したフロアの職員のみ)を対象に行います。
- 対象期間は対象年度の10月となります。(届け出初年度の場合は開始した月)
- 対象の職員の総労働時間、超過勤務時間を合計したものを記載します。勤怠管理システム等の客観的な記録から得られた実績を記入します。
- 加算Ⅱの場合は10月の情報を記載するのみで良いですが、加算Ⅰを取得する場合は加算取得前と後の記載を「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定に関する取組の成果(別添2)」に行う必要があります。

(3)年次有給休暇の取得状況の調査

「全ての介護職員(加算(Ⅱ)を算定する場合の(2)及び(3)については、介護機器の導入を行ったフロア等に勤務 する介護職員)を調査の対象とする。 」
「年次有給休暇の取得状況の調査 別添2の施設向け調査票により、対象事業年度の10月を起点として 直近1年間の年次有給休暇の取得日数を調査(※)すること。 (※)年次有給休暇の取得日数は調査対象者全体の平均値(少数点第 1位まで)を報告すること。 」
厚生労働省の出している事務連絡には上のような記載があります。
【実施方法】
- 総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の調査(下の「別添2 施設向け調査票(労働時間等調査票)」)を全介護職員(加算Ⅱの場合は介護機器を導入したフロアの職員のみ)を対象に行います。
- 対象期間は対象年度の10月を起点とします。つまり、前年の11月から10月の1年間です(届け出初年度の場合は開始した月を起点とする。).
- 対象職員の年次有給休暇取得状況を下記別添2の右端の欄に記入します。
- 1年間1人当たりの平均値を出すために、記入した対象職員全員の有給休暇日数を合計し、対象職員人数で割ります。(例:対象人数が7人、合計の有給休暇日数が69日であった場合は、69÷7=9.8571…≒9.9 ※「小数第一位まで」としか指示がないのでここではとり本記事では一旦、四捨五入して9.9としています。)
- 「年次有給取得日数」の欄に1年間1人当たりの平均日数を書きます。
- ※加算Ⅰを取得する場合は加算取得前と後の記載を「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の算定に関する取組の成果(別添2)」に行う必要があります。

(4)介護職員の心理的負担等の変化

「(2)から(4)については、全ての介護職員(加算(Ⅱ)を算定する場 合の(2)及び(3)については、介護機器の導入を行ったフロア等に勤務 する介護職員)を調査の対象とする。 」
「(4)の調査の実施及び実績の厚生労働省への報 告については、介護職員に必要な説明を行い、同意を得ることとし、当該介 護職員の意向に応じ、調査の対象としないこととするなどの運用は認められ るものであること。 」
「介護職員の心理的負担等の評価 別添3の介護職員向け調査票により、SRS-18調査(介護職員の 心理的負担の変化)及び職員のモチベーションの変化に係る調査を実 施すること。 」
厚生労働省の出している事務連絡には上のような記載があります。
【実施方法】
- 全介護職員(加算Ⅱの場合は介護機器を導入したフロアの職員のみ)を対象に全介護職員の心理的負担に関する調査を行います。
- 調査時期の年月を記入します。対象期間の指定はありませんので調査の実施は当報告を提出する直前などで良いでしょう。
- 下記別添3「職員向け調査票」により、2.心理的負担評価(SRS-18調査)及び3.テクノロジー導入等によるモチベーションの変化に係る調査を実施します。
- 下記「職員向け調査票」を介護職員に配布して記入してもらいます。
- 調査を行った人数を記入します。進体制加
- ①SRS-18(調査)には別添3の2.心理的負担評価(SRS-18)を用います。1~18の設問があります。設問に対して、全くちがう(0点)、いくらかそうだ(1点)、まあそうだ(2点)、その通りだ(3点)で点数をつけ合計点を出します。
- ①心理的負担評価(SRS-18)の合計点を、0-7点、8-19点、20-31点、32-54点で人数を振り分け記入します。(例 0-7点:9人、8-19点:10人、20-31点:5人、32-54点:1人)
- ②モチベーションの変化(調査) には別添3の3.テクノロジーの導入等によるモチベーションの変化を用います。2つの設問があります。設問に対して、モチベーションの変化について-3~3点で評価を行います。
- それぞれの設問に対して、-3~-1点、0点、1~3点で人数を振り分け記入します。(例:-3~-1点:5人、0点:9人、1~3点:11人)算定に関する取組の成果(別添2)」に行う必要があります。

(5)タイムスタディ調査

「(5)については、調査実施に係る現場の負担も考慮し、日中の時間帯、 夜間の時間帯それぞれについて、複数人の介護職員を調査の対象とすること で足りるものとする。 」
「機器の導入等による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の調 査 別添4の介護職員向け調査票により、5日間の自記式又は他記式に よるタイムスタディ調査を実施すること。
厚生労働省の出している事務連絡には上のような記載があります。
タイムスタディ調査とは、職員の1日の介護業務にあたる時間を細かく調査し、
・入浴介護 42分
・見守り 80分
・食事介助 69分
のように業務内容とそこにかけている時間を見える化していく作業です。
【実施方法】
- 実施人数は日中と夜間の時間帯それぞれで複数人とあるので、最低でも日中2人、夜間2人の調査が必要となります。
- 下記別添4の例にならって業務の時間とそこで行った業務の「項目」の所要分数を記載していきます。
- 直接介護、間接業務、余裕時間、休憩・待機・その他の時間それぞれを合計して記入します。
タイムスタディ調査票のExcelファイルはこちらからダウンロードできます。
タイムスタディ調査を簡便に行うためのツールもあります。ツールについてはこちらをご覧ください。


伴走支援・研修・ファシリテーターをうまく使う
生産性向上のためのプロジェクトを初めて行う介護施設は多いものと思います。
そして、生産性向上ガイドラインはこのような介護施設にとってのプロジェクトの指針として良いガイドとなってくれます。
しかし、プロジェクト推進に慣れていない介護施設にとっては委員会やプロジェクトマネジメント、ツールの利用、ファシリテーションは難しいと考えられますし、実際、「うちではそんな余裕はない」という声をよく聞きます。
また、介護ICTやロボットなどの介護テクノロジーを購入しても、その利用が定着しないという施設が半数以上あるとされています。
そのため、スタッフ教育や伴走支援、ファシリテーションが不可欠とされおり、生産性向上ガイドラインでも伴走支援やファシリテーション、研修を外部業者に依頼することを勧めています。
また、このようなプロジェクトにおける教育や伴走支援に対しても補助金が適用できるようになってきておますし、補助金の適用要件として「第三者による業務改善支援又は研修・相談等による支援を受けること」という表記が入るようにもなってきています。
そのため、研修や伴走支援を前提にしてプロジェクトを開始し、補助金を申請するのは有効な方法でしょう。
当社は生産性向上のための伴走支援、介護テクノロジーの導入支援のための研修、セミナー、伴走支援(対面・オンライン)、ファシリテーション、さらには補助金申請サポートも行っておりますので、ご興味があればこちらからお問合せをいただければと思います。