【介護】生産性向上のための委員会とは 開催の手順や内容
目次
生産性向上のための委員会とは
2024年度の介護報酬改定で生産性向上推進体制加算(I)(II)が新設されました。
生産性向上推進体制加算の要件として「生産性向上のための委員会」の設置と開催が求められています。
【介護】生産性向上推進体制加算(I)(II)の算定のために行うことまとめ
一方で、生産性向上のための委員会の開催に戸惑いを感じているというお声を多く聞きます。
本記事では、初めて委員会を立ち上げる施設のために、具体的な開催方法と成功のポイントをご紹介します。
また、厚生労働省からもポイント・事例集が発行されていますのでこちらも踏まえて確認しましょう。
生産性向上ガイドラインの解説についてはこちらに記載しております。
生産性向上のための委員会の設置ポイント
委員会の構成メンバー
効果的な委員会運営のためには、以下のように多様なメンバー構成とすることが推奨されています。
- 管理者
- 介護職員(一般)
- 介護職員(リーダークラス)
- ICT機器に詳しい職員
- リハビリ・看護などの職員
職種や職位で多様な視点を取り入れることで、より実効性の高い改善策を見出すことができます。
委員会の開催頻度
最低でも3ヶ月に1回以上の開催が求められています。
定期的な開催により、継続的な改善活動が可能になります。
委員会での主な検討事項
以下の項目について、具体的な課題抽出と改善策の検討を行っていきます。
- 利用者の安全確保
- 介護サービスの質の維持・向上
- 職員の負担軽減
- ICT化の促進
委員会での主な検討事項
以下の項目について、具体的な課題抽出と改善策の検討を行っていきます。
- 利用者の安全確保
- 介護サービスの質の維持・向上
- 職員の負担軽減
- ICT化の促進
委員会の進行手順
- 開会:出席者の確認
- 前回の議事録確認と課題の進捗状況報告
- 現状分析の報告
- 業務時間調査結果の共有
- 職員アンケート結果の共有
- 利用者満足度調査結果の共有 など (参考)介護現場の生産性向上ガイドライン|使い方解説 課題の見える化
- 課題の抽出と優先順位付け
- 因果関係図などを用いて課題を構造化
- 重要度と緊急度で優先順位を決定 など (参考)介護現場の生産性向上ガイドライン|使い方解説 改善方針を立てる
- 改善策の検討
- ゼロベース(制限が無かったとして)で改善案を出し合う
- 実現可能性や効果を評価し、具体的な取り組みを決定 など (参考)介護現場の生産性向上ガイドライン|使い方解説 改善活動で使えるツール
- 実行計画の策定
- 担当者、期限、評価指標(KPI)を設定 (参考)
- 次回までの行動計画確認
- 次回の日程調整
- 閉会
委員会成功のポイント
- トップのコミットメント:経営層の積極的な関与が不可欠です。経営層がキックオフ宣言を行い定期的に声を挙げましょう。
- 現場の声を重視:実際に業務を行う職員の意見を尊重する。
- 小さな成功を積み重ねる:多いな成功はすぐには得られません。すぐに実行可能な改善から着手して小さな成功を重ねましょう。
- データに基づく判断:感覚ではなく、客観的な数字で評価
- 継続的な取り組み:一度きりではなく、PDCAサイクルを回し続ける
組織マネジメント力がポイントとなります。組織マネジメント力についてはこちら。
委員会の事例
厚生労働省の事例集『利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会のポイント・事例集』よりいくつか事例をまとめました。
これらの事例では、定期的な委員会の開催と、現場の声を反映させた改善活動が共通しています。
また、ICTや介護ロボットの導入、業務プロセスの見直しなど、具体的な改善策を実施し、その効果を検証しています。
社会福祉法人 見附福祉会の事例
【開催手順】
1. 月1回、法人全体で委員会を開催
2. 各施設の代表者が参加
3. 事前に各施設で課題を抽出し、委員会で共有
【主な議題】
- 各施設の業務課題の共有
- ICT・介護ロボットの導入検討
- 業務改善策の立案と実施状況の確認
【改善事例】
- 見守りセンサーの導入により夜間巡視の効率化を実現
- タブレット端末による記録システムの導入で記録時間を30%削減
- インカムの活用で職員間のコミュニケーションを改善し、緊急時の対応を迅速化
社会福祉法人 野の花会の事例
【開催手順】
1. 2ヶ月に1回、法人全体で委員会を開催
2. 各部門のリーダーが参加
3. 委員会の1週間前に各部門で事前ミーティングを実施
【主な議題】
- 業務プロセスの見直し
- 職員の負担軽減策の検討
- 新技術の導入可能性の検討
【改善事例】
- 介護記録のICT化により転記作業を削減し、1日あたり30分の時間短縮を実現
- 排泄予測システムの導入で、適切なタイミングでのトイレ誘導が可能になり、おむつ交換回数が20%減少
- 勤務シフト自動作成システムの導入により、シフト作成時間を週4時間から1時間に短縮
医療法人敬英会の事例
【開催手順】
1. 毎週1回、各施設で委員会を開催
2. 月1回、法人全体での委員会を開催
3. 現場職員も含めた幅広い参加を促進
【主な議題】
- 業務時間調査の結果分析
- 介護ロボット導入後の効果検証
- 職員からの改善提案の検討
【改善事例】
- 移乗支援ロボットの導入により、腰痛を訴える職員が30%減少
- 5S活動の実施で、物品の整理整頓が進み、探し物の時間が1日あたり15分減少
- 多職種連携による業務分担の見直しで、介護職員の間接業務時間が20%削減
外部コンサルタントによる委員会の支援
伴走支援・教育・研修に補助金が使用できる
改善活動のためのプロジェクトを推進していくにあたり、自施設内のリソースや実力では取り組むことが難しいことがあります。
そのために、外部の業者に研修やコンサルティング、伴走支援を検討するのも一つの選択肢です。
とくに、補助金の都合や、法人の号令によりICT化のプロジェクトを進めなければならない状況などでは、施設内での準備が整わないため、外部のコンサルタント等に頼った方がプロジェクトの成功率が高まります。
また、このようなプロジェクトにおける教育や伴走支援に対しても介護テクノロジー補助金が適用できるようになっていますので、これを見越して補助金を申請するのは有効な方法です。
外部のコンサルタントや伴走支援者の活用
介護施設が外部のコンサルタントに依頼することで効果的な支援を受けられる項目には、以下のようなものがあります。
- 現状分析と課題抽出
- 客観的な視点での業務フローの分析
- 職員へのヒアリングやアンケート実施と分析
- 施設の強みと弱みの洗い出し
- 改善計画の策定支援
- 具体的な改善目標の設定
- 実行可能な改善施策の提案
- 中長期的な改善ロードマップの作成
- ICT・介護ロボット導入支援
- 施設に適したICTツールや介護ロボットの選定
- 導入計画の策定と実施支援
- 職員向け操作研修の実施
- 業務プロセス改善支援
- 業務の標準化・マニュアル作成支援
- 効率的な業務フローの設計
- 多職種連携の仕組み構築
- 人材育成・教育研修
- リーダーシップ研修の実施
- 接遇・コミュニケーション研修
- 介護技術向上のための実践的研修
- データ分析と活用支援
- 介護記録等のデータ分析方法の指導
- 科学的介護の実践に向けたアドバイス
- KPIの設定と進捗管理の仕組み構築
- 組織風土改革支援
- 職員の意識改革を促す研修の実施
- チームビルディング支援
- 職場環境改善のためのワークショップ開催
- 継続的な改善活動の仕組み構築
- PDCAサイクルの導入と運用支援
- 改善活動を推進する内部人材の育成
- 定期的なフォローアップと進捗確認
- 他施設の成功事例共有
- 類似施設での改善事例の紹介
- ベストプラクティスの共有と適用支援
- 補助金・助成金申請支援
- 活用可能な補助金・助成金の情報提供
- 申請書類作成のサポート
これらの支援を受けることで、施設内だけでは気づきにくい課題の発見や、専門的な知識・経験に基づいた効果的な改善策の実施が可能になります。
また、外部の視点を取り入れることで、職員の意識改革や新たな取り組みへのモチベーション向上にもつながります。
また、介護ICTやロボットなどの介護テクノロジーを購入しても、その利用が定着しないという施設が半数以上あるとされているためスタッフ教育や伴走支援は不可欠とされています。
当社は生産性向上のための伴走支援、介護テクノロジーの導入支援のための研修、セミナー、伴走支援、さらには補助金申請サポートも行っておりますので、ご興味があればこちらからお問合せをいただければと思います。
DX医療介護ナビ 編集部
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