ケアテックス東京で見つけた!現場が変わるかもしれない機器3選
先月末、東京ビッグサイトで開催された「CareTEX東京’26(第12回)」に足を運びました。会場に入った瞬間から多くの来場者で賑わっており、この業界全体が「何か変えなければ」という空気に満ちていることを改めて感じました。
見どころが多く、会場を一通り回るだけでもかなりの時間を要しましたが、その中でも特に気になった機器が3つありましたので率直にレポートします。
1. RX-5(デバイスアンリミテッドジャパン)── 1部屋10万円で始められる見守りシステム
ブースに近づいた際にまず先進的なデザインに目を引かれました。見守りシステムはコストがかかるイメージがありましたが、1部屋あたり約10万円というのに驚きお話を聞きました。
低価格と書かれていてもほしい機能をつけると結局高くなってしまうケースが多い中で、この製品は内容をしっかり確認すると機能面でも十分な仕上がりでした。
ベッドサイドや居室に後付けで設置できるセンサーが、起き上がりや離床の「きざし」をリアルタイムで検知します。音の変化や照明の変化、ドアの出入りまで感知できる設計になっており、単に「離床した」という事後通知ではなく、「今、起き上がろうとしている」という予兆を捉えられる点が大きな特徴です。転倒事故の予防には、まさにこの「予兆検知」のタイミングが重要になります。
さらに、ナースコール機能も搭載されているため、入居者が自らスタッフを呼ぶことができます。見守りセンサーとナースコールが一体化していることで、機器を複数導入する必要がなくなり、コストと管理の手間を同時に抑えられる点も大きな魅力です。
特に注目したのが、専用アプリ不要でブラウザから確認できるという点です。スタッフが専用アプリをインストールする手間がなく、運用のハードルが低くなっています。さらに、ブラウザ上のためご家族様も見ることができるといったメリットがあるため、「最近の様子はどうか」といった問い合わせへの対応コスト削減にもつながりそうです。
またTAISコードを取得しておりICT導入支援事業の補助金対象であるため、実質的な負担をさらに抑えて導入を検討でき、導入コストを重視している施設にとってまず検討する価値がある機器といえます。
2. YetiCare(イエティケア)── 北欧発、「レク担当者の悩み」を丸ごと解決する機器
今回の展示会の中で、最も目を引いたのがこのYetiCareでした。
フィンランド生まれのヘルステック機器で、大型タッチスクリーンが特徴的です。画面が可動式になっており、テーブルのように水平に倒すことができます。デモ映像では、その水平にした画面を使って複数の入居者が一緒にエアホッケーを楽しんでいました。実際に目にすると、入居者が夢中になる様子が容易に想像できました。
収録されているゲームや活動は50種類以上。エアホッケーや麻雀といったゲームから、絵を描いたり音楽に触れたりする活動まで幅広く揃っています。ケアの専門家や教育機関と共同開発されており、運動機能・認知機能・協調性・社会性をそれぞれ意識したプログラム設計になっている点も信頼性を高めています。
北欧の専門職が開発に関わった50種類以上のアプリは、単なるレクリエーションに留まりません。理学療法士等の指導員が作成する個別機能訓練計画に基づき、上肢の可動域訓練や認知機能への刺激、他者との交流を通じた社会性の維持など、多角的なリハビリプログラムの補助ツールとしての活用が期待できます。
また、複数名が同時に参加できるのも実用的な強みです。レクリエーションの場では、入居者同士が一緒に何かに取り組む場面をつくるのが難しいケースも多いですが、YetiCareは複数人が一つの画面を囲んで自然な交流が生まれる設計になっています。
特に印象的だったのが、手や腕に麻痺がある方でも操作できるという仕様です。指だけでなく、筆・刷毛・スポンジなど面で触れるものでも反応するため、身体の状態にかかわらず参加できるインクルーシブな設計になっています。「元気な入居者しか楽しめない機器」ではない点は、介護施設として大きな安心材料になるはずです。
さらに、画面が大きいためイラスト機能をホワイトボード代わりに活用したり、オンライン講師を招いてリハビリを行うなど、レクリエーション以外の場面でも幅広い使い方ができる点も魅力のひとつです。
レクリエーションの企画・準備に負担を感じているスタッフが多い施設には、特に検討をおすすめしたい機器です。
3. Watch Over Smart(沖電気)── 「薄さ1mmのシート型センサー」がエアーマット問題を解決する
離床センサーのコーナーで、実物を見て驚いたのがその薄さでした。
OKI(沖電気工業)の「Watch Over Smart」に採用されているシート型センサーは、厚みがわずか約1mm。シーツや防水シーツの下に敷くだけで設置でき、寝具に違和感をほとんど与えません。
シート型センサーはこれまでも存在していましたが、「厚みが気になる」「エアーマットには対応できない」という課題が現場でよく聞かれてきました。この製品は薄い布型センサーを採用しているため、エアーマット使用者にも対応できる点が大きな差別化ポイントになっています。
検知できる状態は「不在・在ベッド・ベッド抜出し予兆・長期不在」の4種類です。実際にデモを見たところ動作検知の速さが印象的で、ブラウザ上でアイコン表示されるため状況を直感的に把握できます。異常発生時にはメール通知も届くため、夜間の少人数体制においても対応しやすい設計です。
また、他のシート型センサーでは検知が難しいとされる起き上がり動作の検知精度が高い点も見逃せません。シート型センサーは一般的にバイタルの測定を得意とし、ベッドからの離床や起き上がりを精度よく拾うことが難しいですが、Watch Over Smartはその弱点を克服しており、転倒につながるリスクをより早い段階で把握できます。
映像による見守りカメラを導入する際に生じる入居者・ご家族からのプライバシーへの懸念は、一度は経験する課題ですが、シート型であれば居室に映像機器が入らないため心理的なハードルが大幅に下がります。
この機器もTAISコードを取得しており、ICT導入支援事業の補助金対象であるため実質的な負担を抑えて導入を検討できます。
まとめ
今回取り上げた3機器は、それぞれ異なる現場課題に対応しています。
機器名 | 解決する課題 | 特に適した施設 |
RX-5(デバイスアンリミテッド) | 見守りのコストと運用負担 | 小規模・コスト重視の施設 |
YetiCare(イエティケア) | レクの企画・実施負担と入居者の活性化 | 生活の質向上・施設差別化を狙う施設 |
Watch Over Smart(沖電気) | 離床検知の精度・快適性・プライバシー | エアーマット利用者が多い施設 |
介護人材の不足やコスト圧縮のプレッシャーが続く中、テクノロジーを活用して「現場のゆとり」を生み出すことは、今後ますます重要な経営戦略になってきます。大切なのは、流行りの機器を導入することではなく、自施設が抱える課題やニーズをしっかりと見極めた上で、最適な機器を選ぶことです。それぞれの現場に合ったテクノロジーを取り入れることが、スタッフの負担軽減・入居者の生活の質向上・そして施設全体の生産性向上につながっていくのではないでしょうか。